写真・服飾ユニット maison de fanfare


10/23(日)まで八戸市小中野のそーるぶらんち新丁で、

展示会『Sisters』を開催中のmaison de fanfare。

 

フォトグラファーの姉・中村佳代子さんと、

服飾雑貨のデザインと制作を手がける妹・泰栄さんによるユニット です。

 

ご自身たちも『Sisters』として活動を続けるお二人に、

作品に込めた想いや制作の現場についてお話を伺いました。

 

 空間に入り込める展示を 

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今回の会場である「そーるぶらんち新丁」での開催が決定したのは昨年秋。

しかし会場が決まってからも試行錯誤を繰り返し、

設営作業には2日間を要して、最初のイメージと全く違うものになったそうです。

 

展示で大切にしているのは「非日常感」と佳代子さんは語ります。

「お客さんが現実の世界から離れて、空間に入り込めるような、

すんなり入れるけど集中できる展示空間を目指しました。」

 

 『Sisters』の絆を服で表現 

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お二人の共同作業は、コンセプトをしっかりと話し合い、

泰栄さんが服をデザインするところから始まります。

 

今回のテーマ『Sisters』では、

実際の姉妹はもちろん、親友、母子など「何も言わなくても通じ合える二人」の絆をイメージ。

 

「今までは一人のモデルさんに対して一枚の服を作ってたんですけれど、

今回はSistersいうことで一枚の服ではなく二枚三枚と増えることによって

意味をもつような服作りを考えて行いました」と泰栄さん。

 

上の写真にある2枚は、トップスとワンピースに同じオーガニックコットンの生地を使っています。

また、スカートとケープのレースも同じもの。

 

「デザインやパターンが違っても素材が同じということで、二人の深い関係を表現しました」

 

 

 好きな服を長く。素材にもこだわり 

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こちらのワンピースは、全く同じ型で生地を変えることによって印象をがらりと変えています。

ここでも、大切にしたのは「Sistersの関係」というコンセプト。

 

デザインから仕立てまでをすべて一人で手がけたという泰栄さんは、

生地や縫製にもこだわりがあると語ります。

 

「春夏の洋服なのでなるだけ軽く着られるように

また、好きな洋服をなるだけ長く来てほしいので長く着られるように縫い方を工夫しました。

生産している工場自体が少ない生地も。この生地ならではの素材感を楽しんでもらえたら嬉しいです」

 

ここで「妹が作っている服はモデルの身体のラインを綺麗に見せるようにできているんです」と佳代子さん。

展示してある洋服はすべて試着、購入が可能で、

袖の長さやスカートの丈などは、着る人の悩みをカバーしつつ良さを引き出せるようにアレンジしてもらうことができます。

 

 

 自然な美しさを写すために 

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泰栄さんがデザインし、仕立てた服を着て写真に写るのは、2組の本物の姉妹です。

 

「誰もが持っている綺麗な瞬間」を引き出したいという想いから、

プロのモデルとして活動していない人を写しつづけているという佳代子さん。

 

そんなふうに被写体を選ぶことで、

見る人が自分と重ねやすくなり、そして、「自然」な美しさを撮ることができるよう心がけています。

 

「写真というのは、カメラマンの頭の中にあるイメージを再現して撮るので、実は不自然なことだったりするんです。

一般の方に着てもらうことで、ごく自然に妹の服が見えるように、

頭の中のイメージとその人自身のよさが、ごく自然に馴染むようにと思いながら撮影しています」

 

撮影時の気配りも腕の見せ所です。

「いかに距離を縮めるか、イメージを共有してもらえるか、その人のいい部分を引き出せるか。

どんな人でも、たとえば仲のいい人でも携帯のカメラを急に向けられたら身構えると思うんです。」

 

夏服をのモデルをつとめた二人は「30代前半から半ばくらいの落ち着いた、健やかな女性のふくらみ」が、

春服を着るのはまだ学生の二人は「忘れかけていたみずみずしいフレッシュさ」が伝わるように、

写真を撮る距離感や、かける時間など、細部まで気を配って撮影に臨みました。

 

 

 その人の良さを引き出す背景 

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夏服は静岡の伊東で、春服は八戸でそれぞれ撮影。

「写真は背景が一番大切」という佳代子さん、撮影前にはロケハンを入念に行います。

 

「夏服は最初、海辺で撮りたいと思っていたんです。ワンピースだし足が出るので。

けれどロケハンに行ってみたら、伊東の海辺は観光地の雰囲気が強くて、

もっとナチュラルな感じで撮りたいなと思っていたところ、見つけたのがこの湖でした。

空気も、水面に写る光の加減も、観光客の少なさも、私たちのイメージする健やかな雰囲気にぴったりの撮影場所でした」

 

春服も、モデルの姉妹の良さが引き出せる撮影場所で。

「こちらの姉妹はそれぞれ楽器を習っているんですが、お姉さんががフルートを吹いた瞬間、

空気が浄化されるような華やかな雰囲気を感じて『緑のなかで二人が楽器を吹いている』というイメージがぱっと浮かびました。

みずみずしい二人の、もぎたてのフルーツのような印象を活かしたくて、果樹園で撮影しています。」

 

 Lulalaさんとの初コラボ 

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今回の展示会では スペシャルコラボレーションとして

アクセサリー作家のLulalaさんが全てのアクセサリーを手掛けています。

 

Lulalaさんの「物事や作品に対する誠実さ」に共感したことが、コラボレーションのきっかけでした。

 

また、Lulalaさんも

「maison de fanfareの作品に触れたときに、

自分自身が浄化されたような感覚になったんです。

今回のアクセサリーにはそのときの気持ちを表現しました」

と語ります。

 

 「本当の気持ち」同士の出会い 

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写真撮影の当日まで、Lulalaさんは服を、泰栄さんはアクセサリーを、

お互い一切見ずに制作したそう。

 

「お互いの作品を見てしまうと、人間だからどうしても『歩み寄ってしまう』部分があると思うんです。

コンセプトに対して抱く『本当の気持ち』が変わらないままで、作品を制作できるようにこのような形に挑戦しました」

と佳代子さん。

 

そうして出来上がり、会場に並ぶのは

洋服と、アクセサリーとが、まとう人の良さを引き出しながら、

自然な空気そのままで背景に馴染んで、

まさにお話の中でお二人が目指していると語ったような作品でした。

 

 「Sisters」として活動すること 

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写真と服で『Sisters』のイメージを豊かに表現しているmaison de fanfareのお二人は、ご自身たちも「Sisters」。

姉妹で活動する中で、感じることを伺ってみました。
 

佳代子

「今日の展示会も、受付などを親戚の方が手伝ってくれているんですが、

そんなふうに家族ぐるみで取り組めるあたたかさ、嬉しさはありますね。

それから、これは姉妹に限りませんが、

異業種同士が一緒に活動することで作品の可能性が広がります。

そして、いい作品が出来たときに、お互いに思う存分外に向かってアピールできる(笑)

自分の作品を褒めちぎるのは恥ずかしくても、『妹の服、こんなにいいよ!』って」

 

泰栄

「私は本当に服が好きすぎて、集中すると周りが見えなくなってしまうんです(笑)。

そんな私と、私の作品を、外の世界に広げて行ってくれる存在が姉だと思っています。」

 

 

また、それぞれがフォトグラファー、服飾作家として個別に活動もされているお二人ですが、

個人での活動と『maison de fanfare』としての作品作りの違いはどんなところなのでしょうか。

 

佳代子

「一人での仕事は『クライアントの夢を叶える』場としての要素が大きいのですが、

maison de fanfareは『生み出す』場。自分との戦いの場でもあります。

挑戦すること、コミュニケーションをとることを心がけて臨んでいます」

 

泰栄

「特にDM、ショップカード、イメージなどは、納得がいくまで話し合って決めるようにしています。

人の心が動かされるものを作るには、自分の心が動かされないといけないと思うので、

妥協せず自分たちが感動できるものを全力で作ります。」

 

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最後に、maison de fanfareのお二人から、八戸のみなさんにメッセージをいただきました。

 

佳代子

「展示は『なまもの』だと思っています。

写真集や映像と違って、その場にいないと成立しなくて、

会場だったり、季節だったり、今、ここしかない、この瞬間を体験できるもの。

私自身、展示を観に行くときには、ぱっと見てあまり好きじゃないと感じても、

一度しかないその瞬間から何かを持ち帰ろうと思って観るようにしているんです。

私たちが神経を研ぎ澄まして作ったものを、この場所に、この瞬間に、直球で込めました。

みなさんにも、この展示から何かを持ち帰ってもらえたら嬉しいです。」

 

泰栄

「『maison de fanfare』は直訳すると『ファンファーレの家』という意味です。

誰でも、外に出ていると社会とつながる事でストレスや緊張があると思うのですが、

家に帰ってくると、ホッとする、安心できる、

そんな、リラックスできる空間づくりを目指しています。

私たち二人に会いに来て、家にいるみたいに、リラックスしていただけたらな、と思っています。」

 

maison de fanfare『Sisters』

会期:2016年10月8日(土)〜10月23日(日)
オープン:
月〜金 14時〜20時
土日祝12時〜18時
休み:木曜日

場所: saule branche shinchõ (そーるぶらんち新丁)
青森県八戸市小中野8-8-40
http://saulebranche.info


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