ガラス作家 石橋忠三郎さん(1)


3月21日まで八戸市美術館で、

コレクション展「石橋忠三郎のガラスアート展 ― 芸術性と遊戯性の間で ―」が開催されています。

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ガラスアートの分野で高く評価されている、八戸市在住のガラス造形家 石橋忠三郎さん。

今回の展覧会は、美術館収蔵の作品に加え新作も多数鑑賞できる、集大成的な展示です。

 

 

時代性を取り入れた表現でガラスの可能性を追求しつづける石橋さんに、

作品や表現に対する想いを伺いました。

 

 

― 今回の展覧会はひとつの集大成ということですが、特に思い入れのある作品はありますか?

すべての作品に、そのときどきの思い入れがありますが、

大きな変化をもたらした作品のひとつはオブジェ「しぶき氷」のシリーズです。

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(画像はスターブリッジ・石橋ガラス工房より)

ガラスという素材の“表現の幅”を広げるきっかけとなりました。

 

それから、古代エジプトの技法「アマルガム」を使って、

現代を象徴するモチーフを人型にちりばめた作品。

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(画像はスターブリッジ・石橋ガラス工房より)

“メッセージ性”のある作品ということで、

ガラスという素材の魅力に加え、自分の想いを込めることができました。

 

― “表現の幅”そして“メッセージ性”が大きなキーワードだったのですね。

制作を続ける中で、ガラス工芸における現状を打破したいという気持ちがあったのです。

 

ガラス工芸というジャンルは古くから存在しているのですが、

長いこと『権力者のため』のもの、『工場による』ものでした。

そのため『(技術的に)巧く作ること』や『数を作ること』がことさら重視されてきて

“表現の幅”を広げるための試みは少なかったんです。

 

そんな歴史を持つガラスという素材を、個人の作家が扱うようになった現代、

これまでとは違う表現に挑戦したいという想いがありました。


 

― ガラス工芸というジャンルは、歴史があるゆえにやはり特殊な立ち位置なのでしょうか?

はい、多様な芸術表現が生み出されている現代においても、

ガラス工芸はどうしても「伝統工芸」的な側面が強いのです。

 

ほかのジャンルではとっくにやられてきていることですが、

ガラス工芸の分野では“メッセージ性”のある作品はほとんど作られてきませんでした。

 

たいていのガラス作品は食器がメインで、意匠をこらして大変綺麗に作られています。

それだけではなく、もっとゆったりとしたもの、

自分の内面から湧き出てくるものを、自分なりの表現で広げていくような

作品を目指したいと思っています。

 

― 表現をする上で、石橋さんにとってガラスという素材の魅力はどんな点なのでしょうか?

制約があり、それゆえの可能性があることです。

 

ある程度の完成予想図を描いて制作するのですが、

100%そのとおりにはならず、崩れることで有機的な表情を帯びてくるのが面白いですね。

 

完成後も、透明であるゆえに反射や透過によって無限の表情が生まれます。

「描いたもの」のとは違い、背景もキャラクタも絡み合って、

ひとつの空間に収まることで世界が出来上がっている。

 

「触らない」そして「吹く」という制作方法もガラスならではのものです。

引力・重力・温度など、宇宙の法則と戯れているような感覚があります。

 

 

「宇宙の法則と戯れる」ように、新たなガラスの表現を追求し続ける石橋さん。

その作品が並ぶ本展は、まさに石橋さん内面から生まれるメッセージの溢れる空間です。

連休中のお出かけに、ぜひガラスの宇宙を楽しんでみてください。

インタビュー記事第2回では、石橋さんの創作現場について更に詳しくお話を伺います。

 

石橋忠三郎のガラスアート展ー芸術性と遊戯性の間でー 

日時:開催中~3月21日(月・祝)9:00~17:00

会場:八戸市美術館  0178-45-8338

入場料:一般 150円、大学・高校生 100円、小・中学生 50円


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